西 ゆうじさん 作家 福井県出身

材木屋の息子だけに気(木)が多い!?しかも、上っツラじゃ満足できない。
なっちゃんの笑顔が読者の心に残るような連載を。

 『あんどーなつ』の主人公なっちゃんは、ちょっといい子すぎる、前向きで明るい女の子。
 こういう人がいたらいいな、とみんなが思うような子が狙いでした。越前松平藩のお膝元・福井で祖父母に育てられたという設定なら、行儀作法やお箸をちゃんと使えるこんな子がいても納得できるでしょう。それと浅草を舞台にしたのも、「満月堂」の梅さんや竹さんみたいな職人が本当にいそうだし、人情噺もしっくりくる。読者が物語の世界にすっと入り込めると思ったんです。
 僕は物語の世界観にこだわりますが、読者にとっては読んでおもしろいことがすべて。だから不愉快にさせない、元気が出るものが基本ですね。連載漫画やドラマの「続く」という終わり方も、「来週も見たい」という小さな楽しみを人に届けているんですよね。『あんどーなつ』の場合、ひとつの話が終わって、次の始まりを予感させるときが、「続く」のタイミング。そうすれば、次回までなっちゃんの明るい笑顔が、読者の中に生きていてくれると思うんです。

福井がおもしろいテーマになるのは、みんなが福井を知らないから。

 連載10年目に突入している『蔵の宿』もそうなんですが、福井をとり上げると、みんなあまり知らないから新鮮なんですよね。おもしろがってくれる。そんな好奇心に応えて、『蔵の宿』ブランドの商品もプロデュースしているんですよ。お酒やへしこのふりかけなど、地元の優良企業と協力して、福井が誇る名産をどんどん送り出しています。『あんどーなつ』も、なっちゃんを福井出身にしたら、やっぱり地元が応援してくれて。そこは僕も商業作家ですから、ちょっとは期待もしてましたけど(笑)。
 でも、最初から福井を宣伝しようと思っているわけではないんですよ。福井を作品に登場させたり商品を作ることで、ふるさとの人が喜んでくれる。福井以外の人もおもしろいと言ってくれる。両方にとってよければ、それが一番素晴らしいことですからね。

今までにない世界だから、「西じゃなくちゃ」と言ってもらえる。

 東京の大学に出てきた僕が本格的に物書きになったのは、大学卒業後に入った映画の専門学校での出会いがきっかけ。入学1カ月後の4月の終わり、映画監督の鈴木清順先生に「今度TBSのドラマを書くんだけど、きみ一緒に書かない?」と誘われてね。どうして僕に声をかけられたのか…何かおもしろいヤツだ、くらいに思われたのかな。それからは、番組から番組、人から人へとつながって、ドラマはもちろんクイズ番組や音楽番組などの台本や企画を月に70本以上も抱えるようになりました。
 漫画の世界に入ったのも、人づてに知り合った小学館の編集の方に声をかけられて。ちょうど、漫画人気がすごい勢いで、雑誌も単行本も飛ぶように売れている時代でした。ただ、だからこそ漫画以外のジャンルから違う風をとり入れる必要がある、と感じていたらしいんですね。僕は漫画の世界では、最初からうまくいったわけではなかったけれど、彼は僕を信じてくれた。僕も自分の世界を信じ、今は「この世界は西ゆうじにしか書けない」とあちこちから言っていただけるようになりました。

人間関係を切っちゃうと、作品もそこで死んでしまうから。

 アイデアは、自分の中で使い切っちゃうと、また何か出てくるんです。だから使っちゃう。時間もそう。原稿を早めに上げると、余った時間は他のことができるでしょう。僕、材木屋の息子だから、気(木)が多いんですよ(笑)! いろんなことに手を出して、何でもプロ級になるまで極めちゃう。料理だって、連載中の『華中華』のレシピは、全部自分で考えて実際に作っているんです。原稿を取りに来る編集者さんは、いつも僕の料理を食べて帰ってますよ(笑)。
 編集者さんは、僕にとって大切な最初の読者だから、原稿はファックスやメール添付じゃなく、必ず手渡し。目の前でくすくす笑ったり、涙を流したりしてくれる反応を、やっぱり感じたいんです。人間関係を切っちゃうと、そこで作品も死ぬ。僕はそう思うし、人との出会いだって、そのつながりを大切にしていくと、どんどん太くなっていくでしょう。今までやってこられたのも、結局はそれかな。たくさんの大切な人との出会いがあったから。

始めたことはすべてプロ並みのこだわりよう。出会った人とのつながりを何年も大切に育みながら、周りの人みんなを幸せにしてしまうアイデアとバイタリティ、そして温かさが魅力の西さん。西さんが生み出し続ける物語の人気の秘密が、少しわかった気がしました。

PROFILE
にし ゆうじ
福井県坂井市生まれ。大学卒業後、美学校映画技作工房で演出・脚本・映画美術を学び、映画監督・鈴木清順氏との共同脚本を機に、放送作家としてのキャリアをスタートさせる。コミック作者、放送作家、コラムニスト、演出家、写真家として、幅広い作家活動をしている。

『あんどーなつ』
作/西 ゆうじ 画/テリー 山本
ビッグコミックオリジナル連載中。単行本第1〜8集発売中。(西さんは他に、『華中華』〈小学館・ビッグコミック〉、『蔵の宿』〈芳文社・週刊漫画TIMES〉なども連載中)

取材こぼれ話
 執筆活動の一方で、“福井ふるさと大使”としても大忙しの西さん。福井県の物産品による『蔵の宿』ブランドの立ち上げや、福井県の丸岡町が実施している新・一筆啓上賞『日本一短い手紙』選考委員、県内の講演や小、中、高校での創作指導、そして取材で福井県を訪れる機会も少なくないといいます。
 「今年の初めに『日本一短い手紙』の選考会があったとき、滞在を一日延ばして、芦原温泉の僕の定宿に『蔵の宿』ブランドの企業の人たちと集まったんですよ。そこで生まれたのが“オバマバーガー”なんです」(…!あの、バラク・オバマ氏を勝手に応援する小浜市が応援グッズの一つとして大ヒットさせたオバマバーガーが、ここから誕生していたとは!)小鯛の笹漬けで有名な海産物会社の方に、「もっと練り物が売れる方法はないか?」と相談を持ちかけられたのがきっかけだったそうです。「今はお酒の蔵元で日本酒のアイスクリーム作りが進んでいます。日本酒を使うと粘りが出て、天然の増粘剤の役割をするんですよね」。さすが、関わるものすべてをプロ並みに追求してしまう奥深さ…西さんと福井とのネットワークは、簡単には途切れそうにありませんね。

応募方法: ハガキにアンケートのお答えと郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号、「漫画」もしくは「小説」、本誌を読んだ感想をご記入のうえ、下記宛先までお送りください。2008年10月10日(金)必着。当選者の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。お寄せいただいた感想はえるふぷらざNetでご紹介させていただくことがあります。

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北陸電力(株)地域広報部
「西 ゆうじさんのプレゼント」係

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